昨夜のNHK「クローズアップ現代」で、作家の桐野夏生さんの単独インタビューが放送されました。
ネットで話題になっていたのを見て、録画を視聴(全録レコーダーなので)。
優しくも強い雰囲気のある方で、お仕事場も素敵で、「かっこいいな〜」と思わず見入ってしまいました。
今の世の中にはびこる「自己責任論」や「安易なラベリング」への抗いとして、”一線を超えた人”たちを書いている。
そうおっしゃっていたのが印象的でした。
一線を超えることってあると思うんですよね。本当なんでもいいんですよ。「これは絶対に自分ではできない」と思っていたこととか、犯罪もそうですけど、自分の中で「これは一線を超えた」みたいな瞬間がある人を、どうしても書いていこうと思っていて、そうなるとその登場人物にとっても「一線ってなんだろう」って考えることになるじゃないですか。
アンフェアネス、ラベリング…作家・桐野夏生さんが物語で抗う理由【インタビュー】より引用
(一線を超えると)自由になる人もいれば、重荷になる人もいる。私の場合はほとんど、それで何か解放されるということを書いています。解放ということだけど、同時に責任もあるというか。そういうきっかけみたいなものが、おもしろいんじゃないかと思って書いているんですけどね。
アンフェアネス、ラベリング…作家・桐野夏生さんが物語で抗う理由【インタビュー】より引用
この部分を聞いて、
そうか、「断酒」は私にとっての一線だったんだ!
と、膝を打ちました。
酒のない人生なんてつまらない、酒が人生を豊かにしてくれる・・・一時は本気でそう思い、20年以上習慣的に飲酒してきた私。
ところがいつ頃からか、酒で得られる高揚感や楽しさよりも、その後に襲ってくる怠さや後悔のほうが何倍も大きくなり、「やめられるものならやめたい」と思うようになりました。
でも酒のない生活なんて想像もつかず、しばらくは逡巡する日々。
断酒したことでつながりが切れてしまう人がいるかもしれない・・・
仕事にも影響があるかもしれない・・・
何百回目かの禁酒・節酒失敗のあと、それでもいいから「変わりたい!」と断酒を決行した2021年2月。
その時の心境を思い出しました。
あの時思い切って一線を超えることができて、本当に良かったです。
「”一線を超えた” そんな自分を信頼している」
視聴者への言葉を請われて、こうノートパソコンに書いた桐野さん。
(一線を超えた)その先にどんなものがあるのか、自分がどんなふうに変わるのか、そういう景色を見たいと思っていて、私自身がたぶんそういうタイプなので。私の書く主人公にも、そういう思いをしてもらいたいと思って。
アンフェアネス、ラベリング…作家・桐野夏生さんが物語で抗う理由【インタビュー】より引用
(中略)
ちょっと勇気が出ないとかね、こんなことしたら笑われるんじゃないかとかね、そういう一線ってあるでしょ?そこをこえるとやっぱり変わると思うし。それはひいては豊かなことにつながっていくんじゃないかなと。そうすると何か楽しくないですか。人生って。
私もいつまでも、軽やかに一線を超えられる人でありたいです。
素敵なインタビューでした。
それでは、今日も断酒していきましょう!
〇桐野夏生さんの最新作
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